Long Profile / Research Example

本ページの目的

本ページでは管理人について説明する。つまりは管理人の自己紹介である。しかし単に自己紹介するだけではおもしろくない。そこで管理人が暮らしてきた自宅をめぐる詳細なライフストーリーを描く。これは管理人が関心をもつ建築デザインの方法を活かしたやり方だ。このライフストーリーを読むことで、「管理人が何者か」が次第にわかるだろう。しかしそもそも管理人の自己紹介に興味をもつ人間はほとんどいないだろう。ではなぜわざわざ「管理人が何者か」を説明する必要があるのか? 管理人の自宅をめぐるライフストーリーを記述する前に、この問いについて考えてみたい。

自己紹介をする理由

なぜ「管理人が何者か」を説明する必要があるのか? この理由を説明するために、管理人の研究について言及しなければならない。管理人の研究は以下のようなものだ。まず世界のどこかにある地域に出かける。その地域の住民と出会い、彼/彼女の人生について聞く。可能であれば彼/彼女の家を訪ね、家の図面を書く。以上が管理人の研究だ。管理人の研究がうまくイメージできない人は、某テレビ番組を思い浮かべればよい。街頭で出会った人の家についていき、彼/彼女の人生について話を聞くテレビ番組だ。その番組と管理人の研究はよく似ている。

しかし某テレビ番組を見ていると、もやもやした気持ちになることがある。それは他人の生活を一方的に見て、自分自身のことは何も語っていないからだ。もちろんこれは悪いことではない。番組の出演者は視聴者が見ることを承知の上で、自宅と自らの人生をさらけだしている。視聴者が放映された映像を見ることは当然の権利だ。この権利にたいして、管理人が勝手にもやもやした感情を抱いているだけだ。しかし管理人が研究をしているときも、このテレビ番組を見ているときと同じ感情を抱いている。管理人が自らの研究を正当化するためには、このもやもやを解消しなければならないと考えている。

では他人の生活を一方的に覗き見るもやもやから解放されるために、管理人は何をすればよいか? その答えは管理人自身をさらけだすことだ。自分自身をさらけ出すことで、他者の生活を一方的に覗き見るもやもやから解放される。少なくとも管理人はそのように考えている。だからこそ管理人は、自分自身を納得させるためにライフストーリーを公開する。これが本ページを執筆する一番の動機である。

自宅を題材とする理由

説明をしなければならないことがもうひとつある。管理人が何者かを説明するために、なぜ自宅を題材とするのか? そもそも自宅を題材に管理人のことを説明できるのか? 以上のような疑問が生じる。

上記の問いにたいして、自宅をとおして管理人のことを理解するやり方は有効だと考えている。自宅は管理人とその家族の趣味嗜好が反映された空間である。自宅内にある私物はその際たる例だ。どのような私物を集め、それをいかに配置するかは個々人ごとに多種多様だ。たとえ管理人とその家族がいなくても、自宅にある私物を見るだけで、私たちがどのような人間かが見えてくる。もしかしたら自宅を見られることは、自分たちのことを語る以上に私たちのことをさらけだすかもしれない。これは『TOKYO STYLE』を読めば一目瞭然だ(※1)都築響一,2003『TOKYO STYLE』筑摩書房。。自宅の現状を見れば、現在の家族の姿が理解できるといえよう。現在だけではない。過去に暮らしてきた自宅の居住歴を振り返ることで、そこで暮らしてきた家族の人生も見えてくる。これは『住経験インタビューのすすめ』を読めばわかるだろう(※2)柳沢究,水島あかね,池尻隆史,2019『住経験インタビューのすすめ』西山夘三記念 すまい・まちづくり文庫。。いずれにせよ、自宅をとおして管理人のことを理解することは可能だといえるのではないだろうか。

さらに本ページのアプローチは自宅をより深く理解することにもつながる。もし管理人の自宅を他人が見たとしても、彼/彼女にとっては日本中にごまんとある1軒家のうちの1戸でしかない。同じく自宅にある私物も、大半は通販サイトや近所のショッピングセンターで購入できる消費財にすぎない。中にはゴミにしか見えないような私物もあるかもしれない。しかし管理人にとっては自宅は単なる家ではない。自宅の中にある私物も単なるモノではない。管理人は自宅で長い時間を過ごしてきた。また日々の生活の中で特定の私物を使い続けてきた。こうして自宅と私物には多様な意味が込められていった。自宅と私物は管理人にとってかけがえのない財産となった。佐藤浩司が指摘するように、この自宅と私物の重要性は管理人がそれらに込めた意味を理解しなければわからない(※3)佐藤浩司,2004「家の中の物から見えてくるもの:『2002年ソウルスタイル』展から」野島久雄,原田悦子 … Continue reading。本ページでもちいたアプローチはその意味を解読するための手法であり、「管理人が生きる意味世界(=リアリティ)にもとづいて自宅や私物を理解することをめざす手法」だといえよう。

本ページのアプローチをもちいる理由

上記の段落でしめした目標は管理人が世界各国のフィールドで探求し続けているテーマである。その目標に到達するための手法も大きく変わることはない。つまり本ページを読めば、管理人の研究テーマとそれを達成するための手法が理解できるようになる。管理人が何を質問し、いかなる方法でデータを集め、集めたデータをどのようにライフストーリーとして編集するのかがわかるようになる。本ページのライフストーリーは管理人の研究テーマと手法を伝えることも意図しているといえよう。

ではなぜ管理人の研究テーマと手法を伝えなければならないのか? これは管理人が話を聞く相手の気持ちを考えればわかることだ。管理人がフィールドで出会う個々人は、私が何者かを知らない。もちろん研究をする前に、管理人が何者かを可能なかぎり説明している。しかし限られた時間で全ての情報を伝えることはできない。ゆえに管理人が話を聞く相手は、私が何者かをよく知らずに生活を覗き見られることになる。見ず知らずの人間に自分の生活を見られるのは怖い。これは当然の感情だ。つい先日管理人が参加する研究でも同じようなことがあった。管理人たちの意図が相手に伝わっておらず、研究を断念せざるを得なくなった。このような状況に対処するために、管理人のライフストーリーが役に立つ。この(過剰に詳細な)ライフストーリーを読むことで、管理人が何者かがわかる。管理人が何のために研究をするか理解できる。その目的を達成するための手法がわかる。研究の成果が何の役に立つかが理解できる。管理人の研究に付き合うことで得られるメリットもわかる。管理人がどのような質問をするかも想像がつくだろう。たとえば、どの地域で生まれ、どの地域に移住し、現在の地域にやってきたのか? 各地域ではどのような家で暮らしてきたのか? 居住者はそれぞれの家をどのように解釈し、いかなる意味を込めてきたのか?… このように管理人の研究を理解することで、話を聞く相手も少しは安心できるかもしれない。これは相手との信頼関係を構築するためには不可欠である。これが管理人がライフストーリーを執筆する動機でもある。

ようやく本題に入る

本ページでは管理人の自宅をめぐるライフストーリーを描く理由について書いた。それではいよいよ管理人が暮らしてきた家屋をめぐるライフストーリーの記述に移ろう。なお本ページのライフストーリーはなるべく詳細に書く予定である。そのためとても文字数が多くなることが想定される。このことを考慮した上で、管理人が暮らしてきた家屋をめぐるライフストーリーにお付き合いいただきたい。

1 都築響一,2003『TOKYO STYLE』筑摩書房。
2 柳沢究,水島あかね,池尻隆史,2019『住経験インタビューのすすめ』西山夘三記念 すまい・まちづくり文庫。
3 佐藤浩司,2004「家の中の物から見えてくるもの:『2002年ソウルスタイル』展から」野島久雄,原田悦子 編『<家の中>を認知科学する:変わる家族・モノ・学び・技術』新曜社,81-120頁
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